インタビュー企画   

【対談】劇団皇帝ケチャップ吉岡さんとパセリス浅海さんで語る”二足のわらじ”

日本コメディ協会に所属する、「劇団皇帝ケチャップ」主宰である吉岡克眞さんと、「パセリス」の劇団員である浅海タクヤさんをお迎えして対談を行いました。テーマは「劇団員」と「会社員」の両立について。劇団業務を行いながら、平日は会社員として働くお二人に、今の気持ちをお聞きしました。(2018年5月取材)


左:劇団皇帝ケチャップ 吉岡克眞さん、右:パセリス 浅海タクヤさん


<目次>


【第1回】「二足のわらじ」と言われて

【第2回】劇団と会社でできることの違い

【第3回】チケット代とコストの話

【第4回】これからのコメディ協会


<第1回>「二足のわらじ」と言われて

浅海 よろしくお願いします。

吉岡 よろしくお願いします。


―――お二人は会社員と劇団員、いわゆる「二足のわらじ」と言われたりする立場ですが。


吉岡 個人的にはどっちかは辞めたいと思ってやってるんですよ、未だに。始めた時から、劇団とか演劇で食っていきたいと思って立ち上げたので。

浅海 僕もそうですね。


―――具体的にどういう経緯で会社員と劇団員を両立する形になったんですか?


吉岡 劇団立ち上げて派遣社員になって3年くらい経った頃に、「演劇活動してもいい」っていう条件で社員になったので。実はその段階で直近の公演ってのは決まっていて、「2ヶ月くらい毎日定時であがりますよ」ってのを認めてもらって、「公演期間は休みますよ」ってのを認めてもらって、その条件が揃わなかったら社員にならないですっていう(笑)。


浅海 自分はもともと大学時代に演劇をやっていて、最初は演劇やめようと思って会社員になって、でもこっそり続けてはいて、で、やっぱりやりたいなってなって、会社員2年目でパセリスを立ち上げたんですけど。その段階では言葉は悪いですけど、(会社は)保険みたいな感じでした。



浅海 でも僕が思うに、いわゆるフリーターをやってる役者さんも、バイトはしてるわけなんですよね。言うほど自分は「二足のわらじ」でもなくて、そういう意味ではみんな「二足のわらじ」だったり、下手すりゃバイトを3つ以上駆け持ってる人もいるわけで、その人たちと比べると「全然そんなに」って思ったりします。会社員っていうステータスだけが、なんか立ってるような気がして。あんまりそんな特別感みたいなものは感じないです。


吉岡 確かに自分もアルバイトから派遣になって会社員になって、って過程を経ていく中で、やることのできる領域ってのは違うと思うんですけど、生活のリズムってそうそう違わないんじゃないかって思います。


―――会社員も演劇人もそこまで大きくは変わらない?


吉岡 出演してもらってる役者さんの生活のリズムを見てると、夜勤で結構体がまいってきて、でも稽古に行かないといけない、寝不足になって、食事もおろそかになり、っていうのは逆に不健康すぎやしないかなってのは結構考えたりします。中には昼間派遣で働いて、夜だけ稽古で、っていう考えも持ってる人がいるわけで、もっと理想的なカリキュラムっていうか、生活をしてってもいいんじゃないかって思います。


実際いま劇団だけをやってて、アルバイトをやってるっていう主宰さんだったりとかはいらっしゃるわけで、そこに会社っていう「生活」を選んじゃいけないってことは全然ないっていう考え方が、あまり浸透されてないのかなって思います。


―――なるほど。


吉岡 だからむしろ会社を選んだ人たちに対して「お前なに(会社を)選んでんだよ」みたいなのがちょっと嫌なんですよね。


浅海 あー(苦笑)。


吉岡 会社の中でも「演劇をやってます」っていうことになると、”なんか趣味でやってるんでしょ?”っていう風にどうしても見られちゃうのが腹立たしい部分はありますね。(気持ちは)わかるんですけど、わかるんだけど、お客さんからお金もらって、ある日数ちゃんと稽古して、本番に臨んでいるので、趣味とは違いますっていう温度差がどうしても埋まらないところがあって。


浅海 確かにわかってもらえないような気はしますよね。



浅海 いま副業の時代じゃないですか。演劇を副業として定めるのは難しいですかね。


吉岡 社員になる際に人事から副業については指摘を受けていて。完全NGではないとしても報告は必要みたいです。


浅海 うちの会社は最近副業オッケーになったんです。だからあわよくば脚本とかで稼ぐってことができたらいいなと思ってるんですけど、まぁ難しいですよね。僕の中であんまり演劇がビジネスモデルとして、自分の生活を支えるくらいまで持っていけるのかっていう不安もあって、たぶん(吉岡さんも)予算とかも立てて、ベストは参加者全員に、公演で得た収益をみんなに分配して、みんなwinwinという状況がベストだと考えると思うんですけど、それをやろうとすると、結局チケットを5000〜6000円にするしかないみたいな、そのあたり難しいですよね。


吉岡 そうですね。劇団員だから無料で働いてくださいっていうのはやっぱりおかしな話で、それに美術を作ってくれたりだったりとか、結構労力もかかってるし、スタッフさんも(費用に)気を遣ってくれてる部分もあるからそこに甘えちゃってる部分はあって。そこは改善していきたいですよね。


浅海 友達価格が横行してる世界ですからね。収入で得られるものはチケット代かグッズ代や脚本くらいという中で、演劇を副業として考えるのは僕はありだと思うんですけど、現実的に考えたときにどこまで副業って言えるんだろうっていう気はしてるんですよね。


――劇団員さんはいま何名いらっしゃるんですか?


吉岡 いまは僕入れて3人です。


浅海 3人の方はフリーターですか?会社員?


吉岡 いちおう勤めてはいて、僕より給料いいですよ(笑)。


浅海 いいなあ(笑)。


吉岡 そして僕以外はみんな既婚者なんですよ。一人は子供が去年生まれたのかな。なので全然家庭があって、もう一人も家庭があって、僕がまだっていう感じで。


浅海 なるほど。ま、それでも給料は払いたいですよね。


吉岡 関わる人がちゃんと給料をもらって仕事をするっていうのがやっぱり正しい形かなって思いますよね。



(つづきます)


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