インタビュー企画  

【対談】劇団皇帝ケチャップ吉岡さんとパセリス浅海さんで語る”二足のわらじ”

日本コメディ協会に所属する、「劇団皇帝ケチャップ」主宰である吉岡克眞さんと、「パセリス」の劇団員である浅海タクヤさんをお迎えして対談を行いました。テーマは「劇団員」と「会社員」の両立について。劇団業務を行いながら、平日は会社員として働くお二人に、今の気持ちをお聞きしました。(2018年5月取材)


左:劇団皇帝ケチャップ 吉岡克眞さん、右:パセリス 浅海タクヤさん


<目次>


【第1回】「二足のわらじ」と言われて

【第2回】劇団と会社でできることの違い

【第3回】チケット代とコストの話

【第4回】これからのコメディ協会


<第2回>劇団と会社でできることの違い

―――演劇は外部への営業といった部分に弱いイメージがあるんですが、作品のクオリティをあげていくことと、販路を作ることについて、会社員のお二人はどういう風に取り組んでるんでしょうか?


吉岡 ある程度計画性がないと、公演を打っても出演者のお友達とかが来てくれて終わりです、という形になるので、本来であれば、何がその劇場で行われるのかっていうのを2ヶ月とか3ヶ月とかにある程度早めに提供・拡散していかないとまずいと思ってます。例えば脚本だけでも1年前くらいにできていた方が、売り方としては成立していくだろうなって思っていて、それがいま小劇場だと少し遅れているなというか。売っていく「商品」の情報が曖昧な状態なので。


―――映画の予告編やamazonのお試し読みみたいなことは、演劇だと難しい・・・?


吉岡 たぶんできますよ。


浅海 できると思います。だから本当は、脚本家が「脚本を本番前にあげました」みたいなのを美談としちゃいけないと思っていて、ビジネスで考えると、商品を売るための期間ってのがきちんとないといけない。そのためには「どういう話なのか」「誰が出るのか」っていう情報がある程度前にはわかってないといけなくて、今の状態だと営業は「(脚本も出演者も決まってないけど)宣伝してくれ」と言われても、何を営業すればいいんだって話になるんですよ。


吉岡 例えば折り込みのチラシを見て「あ、これ行こうかな」って思うこともあるんですけど、だいたいがポエムが書いてあるだけ。あれがちょっとイラッとするんですよね(笑)。この劇場でやります、出演者この人です、タイムテーブルこれです、っていうふわっとした情報だけがあって。でも商品できてないじゃんっていう状態なので。



浅海 それと圧倒的に人的リソースが足らないですよね。(吉岡さんのところは)劇団員3人でうちも劇団員2人だし、それで会社回すって相当大変なことで、だから会社にいて思うのは、例えば会社だったら、300人従業員がいる中で10人くらい経理にいて、WEBに40人から50人くらいいてっていう状態だったりするんですけど、それと同じようなことを2人とか3人でやるってなかなか大変だよなと思っていて。だからこれはあくまで個人的に思うことなんですが、


―――なんですか?


浅海 いろんなところから人を集めてプロデュース公演をやることが増えている気がしているんですけど、一発花火を打ち上げるのはいいと思うんですけど、(団体として)その先につながらないのはどうかなと思っていて、個人的にはもっと「劇団員」というものが増えていけばいいなと思っていたりします。


―――一方で、劇団に縛られないメリットというのもある気はします。


浅海 確かに。ちなみに吉岡さんは劇団員さんが他の劇団に客演になった時って、作品のチェックとかされます?


吉岡 全然野放しですね。もう35~6歳の男しかいま役者ではいないので、これまでは20代の女の子が役者として(所属して)いたので、アドバイスとか、オーディション情報を流したりとかしてたんですけど、いまはもう全然ですね。


浅海 うちもダメそうな時はなんか言ったりするくらいですかね。


吉岡 「ダメそうなもの」って基準かなにかあるんですか?(笑)


浅海 えーっと(笑)・・・これは語弊があるかもしれないんですけど、役者さんがいっぱい出てるところですかね。だからそれは(吉岡さんの劇団が)20人くらい出てるから言いにくい部分はあったんですけど、一人あたりの時間で考えちゃうんですよね。僕は主宰の神谷(はつき)ってのがすごいできる子だと思ってるから、できるだけ神谷の出演時間が多いといいなって気がして、もちろん完全にダメってことじゃなくて、自分の時間が少なくてもそこに出たいかどうかってところは聞きますかね。


吉岡 なるほど・・・でも確かに自分はそのオファーをする段階で、ある程度どの役にってのは決めてるんですけど、結局この人出るんだからもうちょっと時間を作らないととか、っていう形で伸ばしたりとか、書き換えたりっていう迷いはありますよね。


浅海 脚本で調整できるのはすごいですよね。


吉岡 でも一瞬しか出ない役はあんまり作りたくないですよね。通過するだけの役とか(笑)。


―――それこそ先ほどのプロデュース公演などは大変かもしれないですね。


浅海 そうですね。役者さんの声のパワーバランスもちょっと大きくなってくる気がします。でもそれも良い悪いあって、作品にもよりますけど、役者さんにわーわー言ってもらった方が良い作品になるってこともやっぱりありますからね。



―――ターゲットはいま現在はどこに置いているんでしょうか。


吉岡 もともとライトノベルを演劇化したらどうなるのかってところから走っているので、やっぱりティーンズから20代後半くらいの女性がターゲットかなという感じですね。


浅海 わかりやすいですね。実際どうですか、お客さんの層としては。


吉岡 そもそも出演者が男女比較すると女性の方が多いんですよ。そのつながりで来てくれているっていうのがあるので、女性が多いっていうのはあります。ただ前回の公演から事務所に所属されてる方や元アイドルの方とかに出演いただいているので、男性が増えてきてて、少し男女のばらつきが出始めたかなっていう感じですね。


浅海 その出演者のファンっていうことですね?


吉岡 そうです。その出演者を見に来たっていう。だから次につながらないんです(苦笑)。出演者を見に来てるので。


浅海 なるほどー(笑)。


―――その中の1人でも作品についてくれればラッキーだと。


吉岡 ラッキーですね。アンケートでも「また見に来ます」って書いてくれたりするのはすごく嬉しいんですけど、ほぼ(次回公演に)来ないんですよ(笑)。


浅海 アンケ―トあるあるですね。


吉岡 やっぱりその人出てなかったら来ないんですよ。


浅海 わかります。超あるあるですよね。




(つづきます)


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