インタビュー企画   

【インタビュー】「Confetti」(カンフェティ)編集長吉田祥二さんと語る「ロングランプランニング」と演劇事情について

演劇人なら知らない人はいないフリーペーパー「Confetti」。その編集長を務める吉田祥二さんと「Confetti」を発行する「ロングランプランニング株式会社」の変遷と、その周りの演劇事情について伺います。(2019年3月取材)


左:遠藤隆之介さん、右:吉田祥二さん


<目次>


【第1回】榑松さんとの出会いと会社が立ち上がるまでのお話。

【第2回】Confetti(カンフェティ)登場。

【第3回】演劇の移り変わりと紙媒体について。

【第4回】演劇人の応援と育成。


<第3回>演劇の移り変わりと紙媒体について。

遠藤 今日特に聞きたいと思っていたのが、(会社を)立ち上げてから今までの小劇場や演劇の移り変わりを踏まえて、これからどういう演劇形態が流行っていくかってことなんですけど、先行きがあまり見えないじゃないですか。

吉田 うーん、そうですね。(先行きが)見えないことにも気づいてないみたいな感じかなと思いますね。というのも、今の若い人たちって、演劇が盛り上がってた時を知らないじゃないですか。その時期って僕がやってた時期よりもう少し前で、アングラとか唐(十郎)さんとかがあって、僕とかだと第三舞台とか、東京オレンジの堺雅人さんとかが出てるってことを知ってるから、今と比較できますけど、30代より若い人たちってなってきた時に、明らかに盛り上がってる2.5次元舞台があるくらいで、「もう一回盛り上げていきたい」の「もう一回」がわからないんだと思います。


遠藤 昔に比べて盛り上がっていないのは、文化とか遊びとかがいっぱい増えちゃったってのも要因ですかね。ゲームとかWEBとかyoutubeとか。

吉田 それもありますね。


遠藤 とすると、当時より盛り上げるとしたら大変ですよね。

吉田 (盛り上がる)可能性はあると思うんです。でも、同じ盛り上がり方じゃないでしょうね。だからそう言う意味でいうと、2.5次元舞台の盛り上がってるので「演劇界が盛り上がってる」って言っていいと思うし、じゃあ次はどういう盛り上がり方をするものが生まれるのかっていうことをなるべく早く察知して、仕掛け人みたいになっていければいいと思っています。どういう形でくるかっていうのはいろいろ考えますけど、考えていて楽しいですよね。


遠藤 楽しいってのはいいですよね。

吉田 先日、岸田戯曲賞が発表になりましたけど(※発表から数日後に取材)、その時のコメントにあって共感したのが、岸田戯曲賞は日本語で書かれて日本人に対して出しているけど、コンビニのバイトの方は外国人の方が多い、ってなった時に、外国人の方が普通に日本に滞在している中で、日本語で書かれた日本人向けの戯曲賞っていうのはちょっとずれてるんじゃないか、みたいな。コンビニで働いている外人のバイトの人たちは、お客さんの対象じゃないのかって、まぁ極論ではあるんですけど、確かにそうだなと思っていて。なので広い意味でいうと、日本人の人口とか生活スタイルも変わっていくけど、どう変わっていくのかみたいなことも考えた上で、エンターテイメントを意識したものを作る、みたいなものが出てくるのかなと。



遠藤 でも、2.5次元舞台の盛り上がりはすごいですよね。

吉田 すごいですね。別世界の話のように感じます。


遠藤 作品は作品でつくりたいものを作るとしても、運営とか勉強になるところはある気がします。

吉田 難しいですけど、どういうものを作りたいかっていう確固たるものがある人は少なくないと思うんですけど、じゃあでも本当に本心で突き詰めた時に作りたいものを作ってるっていう人って少ないと思うんですよ。


遠藤 本人の承認欲求だったりってこともありますよね。

吉田 そうですね。だからそこまで突き詰めて本当に作りたいものを作ってるって言うためには、いったんは寛容になるというか、いろいろなものを知ってからやっていくべきじゃないかなと思っていて、だから2.5次元舞台とかも同じ舞台なんで見た方がいいと思うんですよね。


遠藤 飲み会とかで話してた時から、(吉田さんが)あんまりお金儲けしたい人じゃないって感じがして。演劇に対して誠実というか。ご一緒した審査員の方もそうでしたけど、演劇愛がすごいですよね。

吉田 やっぱり人が面白いというか、人と喋って、普通のサラリーマンとかOLさんとかでも楽しい人はいますけど、この業界の方がそういう人が集まってる率は高いと思うんですよね。だから単純に、喋ってて楽しいですよね(笑)。この人はたぶん日常生活生きるのが、大変なんだろうなって思う人とかもよく会ったりするけど、それは別に失礼とかじゃなくて、それはすごく魅力的だからって意味で、でもそれだけやっぱりそういう人であればあるほど、この業界でしか生きていけないとか、役者さんとかでも舞台上でしか生きていけないって人とかって、すごい魅力的じゃないですか。だからこそなんか力になりたいなって、無意識に思うんですよね、僕とかは。


遠藤 マネタイズが超苦手なこの業界への救済みたいなのもありますよね。この事業によって助かってる団体ってすごいあると思います。

吉田 そう思ってもらえてればいいですね。



遠藤 「ぴあ」とか「シアターガイド」が終わって、紙系の世界っていま大変な時代じゃないですか。もちろんWEBもいろいろやってると思うんですけど、そのあたりはどんなバランスを取ってるんですか。

吉田 うーん、そうですね、確かにネットの方が情報が早いし、紙の時代じゃないって普通に思ってはいます。けど、そのあたりは結構柔軟かなって感じです。折込チラシって、開場から開演までのだいたい20〜30分の中で、いちおう見てくれる人はいると思っていて。今はスマホ見てる人も多いですけど。


遠藤 確かに劇場に入ったら物質的にあるっていうのは大きいですよね。

吉田 だから一般の方ほど、ここにはこれだけ世界が広がっているのか、って折り込み束を見てなると思うんです。演劇情報ってネットであんまり見ない方もいるじゃないですか。たぶん演劇ってそういうのがきっかけで、新しい扉が開くんじゃないかって思うんですよね。


遠藤 2.5次元舞台のはしごとかに役立ちそうな気はしますね。他にもこんなイケメンがみたいな。

吉田 その舞台に感動するものがあったら、その作品を見てから、いずれは年間100本見る人になっていくこともあると思うんです。なので、やっぱり開場から開演までの20〜30分のお客さんの手元のところは独占したいというか、うちがその時間をもらってるっていう。


遠藤 僕は結構、家帰ってじっくり読みますね。

吉田 そういう使い方でもいいですよね。ただ、紙の値段も上がってるというのはあるので、そこはいろいろ考えていかないとって思ってはいますね。


浅海 でも確かに開場して座ってからの、他の公演を見るようなWEB側の代替の媒体がないってのも大きいかもしれないですね。劇団のサイト見たからって他の公演の宣伝バナーがあるわけじゃないし。

遠藤 そもそもその劇団のHPって見ないかもですね。まだTwitterとかSNSだったら見ますけど。

吉田 入り口はそこ(SNS)ですよね。そこでHPには行くけど。いきなりHPには行かないですよね。


遠藤 多くの劇団は何年も更新されてなかったりしますからね。

浅海 WEB化が進んでないっていうのも逆に紙が残っている理由にもなるかもしれないですね。あんまりその技術者がいないというか、みんな芝居をやりたいって人たちばかりだから。


「Confetti」WEBサイトはこちら。



(つづきます)


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