インタビュー企画   

【インタビュー】谷川博昭さん:ビジネス視点で見る俳優のお仕事と業界について

大手企業の営業職の最下位から一気に数億売り上げる営業マンへと成長し、今は俳優や配信者として活動されている谷川さん。なぜ俳優に転身しようと思ったのか。そして、営業マンとして活躍されていた谷口さんから、演劇業界・俳優業界がどのように見えているのか伺います。(2019年3月取材)


左:遠藤隆之介さん、右:谷川博昭さん


<目次>


【第1回】俳優とマネタイズ。

【第2回】俳優として配信をしてみて思うこと。

【第3回】コミュ障だった時代の話とフリーランスについて。

【第4回】俳優にこだわらない。


<第2回>俳優として配信をしてみて思うこと。

谷川 そもそも僕が俳優始めようと思った理由がいくつかあって、一つは自分を商品にしたかったんです。もともと営業としてサービスを売ってたんですけど、次は自分っていうものを商品にして、確固たる価値を作ろうと思ったところが一つ。あとサラリーマンやってると、共感できるかどうかわからないですけど、どうしても安定した土台があるんで、家族守っていこうとか、お金の使い方が消極的というか、車買う家買う、子供のために使うとか、じゃなくて、自分を成長させるためにお金って投資するべきだと思っていて、その時に趣味に使うっていうのも投資の一つだと思いますし、そういうお金の使い方をしている人と会いたいなって思ったところがあるんですよ。


遠藤 「自分」っていう素材そのものを磨くために投資をしてるんですよね。

谷川 そうですね。そういう人が俳優の世界って多いんじゃないかなって思って、入ったんですけど・・・思っていたのと少し違うというか(苦笑)。


遠藤 この話とか聞いてもムカついちゃう人もいそうですね(苦笑)。

浅海 職人気質みたいに思ってる俳優さんもいらっしゃいますからね。


遠藤 匠系の俳優さんも別にいていいと思うんですよね。

谷川 何も考えずにビジネスのフェイズに生きている人が思ったより多かったりしたので。


遠藤 俳優って、フリーランスの場合は、マネージャー業務も兼ねなければいけないじゃないですか。

谷川 そうです。営業とマネージャーと。


遠藤 事務所とか劇団があれば宣伝してくれたりとか、仕事も取ってきてくれる可能性があるとして、フリーランスの俳優さんがそこらへんの意識をどう持ってるのかっていうのはあるかもしれないですね。

谷川 マネージャーをつけるにしても、個人で価値を生み出せない状態でマネージャーをつけたら意味がないんですよ。お芝居って価値基準がないじゃないですか。「これができたら100万円」とかないですし。万人ウケするのか、個人にしかウケないのか、価値基準がない世界なんで、そもそもまず自分に価値をつけないといけないんですよ。


遠藤 小石田さんとかも対談してますけど、やっぱり365日あの人はブログを書いているわけですよ、毎日あったこととかを。俳優さんとかは本当公演前とかにちょこっと書くだけの人が多くて。でもたぶん小石田さん、あちこち行ってるし、仕事の量的にもすごい忙しいと思うんですよ。俳優さんたち絶対、怠ってますよね。

谷川 怠ってますね。バイトという名目で怠ってますよね。


遠藤 プロのシンガーの人たちとかもやっぱり、全SNSを毎日1回はあげてるし、食べてる人の方が集客を怠らないんですよ。

谷川 集客を維持するっていうのがビジネス上、一番大事なので。特にBtoCの業界はC(Customer)に対するアプローチ(が重要)ですよね。飲食とか服とかの業界にしても、SNSだったりインターネットの活用ができてない業界っていうのは全部潰れているので、そこに意識がいかないっていうのは致命的だと思って見てますね。


遠藤 でみなさんレスポンスが早いんですよね。既読も早いし。1週間ぐらいして、第一報がくるってオイみたいになるっていう。

谷川 優先度が低いんですかね。


遠藤 優先度が低いから後でいいってなっちゃうんですかね。翌日のバイトのシフトの方が大事みたいな。

谷川 可能性はありますよね。余裕がないというか。


遠藤 その人の気持ちはなるほどとは思うけど、違うでしょって感じですよね。

谷川 そうなんですよね。職業にしたいのであれば、なかなか難しいなと思ってて、それもあって自分も「俳優(無職)」という中でやってます。俳優って職業て呼べないと思っているところはあるんですよね。



遠藤 配信者としてはやってみてどうでした?


(谷川さんは「MixChannel」などでライブ配信を定期的に行っている。)


谷川 配信してやってみた感覚っていうと、手応えは一つあって、これ(配信)がどこまでビジネスとして成立するかっていうのは難しいなと考えていて、配信って今のプラットフォームになると、youtubeみたいに動画って感じで残る媒体がないんですよね。(動画を)見返すことができない状態。一方で、youtubeとか配信がらみのコンテンツで利益が出てるっていうのは、企業の案件、広告案件が効くとかってところに繋がったからだと思うんですよね。


遠藤 ライブ配信でも商品を実際にプレゼンできるアプリもあるみたいですね。

谷川 ありますね。いまメルカリとかもやり始めていて、通販界隈とかに繋げれば価値があると思うんですけど、俳優という何者でもない人間が、配信をし続けることってホストと変わらないと思っていて、そこで影響力を持つことはできるとは思うんですけど、差別化は明確にしないと難しいと思うんですよね。


遠藤 なるほど。

谷川 こいつ(自分)がいることによってどんな価値が提案できるのか。例えば来てくれたら個人で悩み相談できますよとか、っていうのでもいいですし、俳優がただ喋ってるだけってたぶんどっかで頭打ちになると思っていて。


遠藤 人気の配信者さんを見てると、面白い感じで旅をしたりとか、ちょっとしたトーク企画とかなのに、すごいウケがいいっていう。だから本来稽古して、完成した作品を見せるっていう芸術形態とは違うなんかスキルがあるのは確かなんですけど、分析がまだちょっとできていないというか、

谷川 あれも本当ホストとか地下アイドルの世界に近いですよね。頑張ってる姿を応援したいっていうような。


遠藤 前に加藤望さんがプロより拙い人の方が人気が出るっていう名言を言ってまして。

谷川 間違いないと思います。youtubeがあがってきてるのって、それが理由だと思っていて、やっぱりyoutubeとかtiktokとかあの辺とかはプロから見たらだいぶ低いところにあると思うんですよ。つまり頑張ってる感をどれだけ出せるかだと思っていて、たぶんその辺はAKBとか坂道グループとかその辺の商法に近いのかなと思って見てますね。


遠藤 かねがね、欧米はプロ文化だと思うんですよ。オフブロードウェイでつまんなかったらどんどん弾かれたり、やっぱりプロに対してお金を払う。で、日本は最初は未熟な俳優さんを、グッズ買ったり応援してチケット買ってだんだん上手くなっていく姿を楽しむみたいな、そういう育成ゲームに近いところがあるじゃないですか。それが独特ですよね。そこにマネタイズが発生するっていう。

谷川 お金を稼ぐという文化が、日本だとちょっとよくないこととして捉えられてるじゃないですか。あれがあるから、稼いでなくて頑張ってるのが自分より下であろうというか、精神的なマウントを取ってやってるんじゃないかなって思ってますね。


遠藤 そういうこともあるかもしれないですね。

谷川 何かを提供できる状態まで持っていけないと、たぶんSNS関連の発信は厳しいかなと思っていますね。


遠藤 俳優さんはyoutuberとか逆にそっち系のプロの真似事をするよりは、俳優のスキルとか、演出家のスキルとか、見る人はニッチになるかもしれないけど、技術職として提供した方がいいんですかね。

谷川 まだその方がマシだと思いますね。ただそれを提案するにしても、見る層がやっぱり少ないっていうのがあって、それこそインプロとかお芝居を動画として出す方がいい気がします。


遠藤 一般層も見るような。

谷川 もしくは作ってる途中のノウハウっていうんですか、演出つけたらこんな変わったよっていうのとか、演出中の動画とかってのがあると、たぶんウケるかなと思って見てますね。



遠藤 で、最近youtuberになられたということですね。

谷川 youtubeを最近はじめましたね。試しでやってみてはいるんですけど、結構食いつきがよくて。


遠藤 youtubeではどんな企画をやってるんですか?

谷川 話し方を教えてくれって言われることがよくあるので、そういうのを発信していこうと思っています。「営業やってた」っていうノウハウがあるので、コミュニケーションスキルとか、分析スキルとか、そのあたりをもっと提案していきたいとは思ってますね。


遠藤 youtubeで「はいどうも!」みたいな感じでやるんですか?

谷川 してもいいんですけど、椅子がないなと思っていて。「はいどうも!」ってやってもたぶんどっかの後追いとかなんですよね。


遠藤 もうされ尽くしたものみたいな。

谷川 そうですね。たぶんどこの業界でもレッドオーシャンとかブルーオーシャンとかあると思うんですけど、だったら少ない方を攻めた方がいいんじゃないかって思ってます。


遠藤 話し方とか言える人ってまだ少ないですもんね。

谷川 そうですね。ただ、前にyoutubeで「コミュニケーションってこうしたらいいんだよ」って動画をあげたんですけど、小中高生から「めっちゃわかりやすかった」って反響が帰ってきて。


遠藤 それはヒロさんの親しみやすさがあったからこそなんですかね。

谷川 それもあるかもしれませんね。ただ、どっちかっていうとターゲットは、20代後半から30代とか、同年代にしたいんですよね。


遠藤 なるほど・・・ではこのタイミングで営業時代の話を聞いていこうかなと思うんですけど・・・



(つづきます)


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